日本栄養・食糧学会誌
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オーツガム質ならびに大麦ガム質の摂取が遺伝性肥満ならびに正常Zuckerラットの血漿および肝臓脂質濃度に及ぼす影響
小田 泰士青江 誠一郎真田 宏夫綾野 雄幸
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1991 年 44 巻 6 号 p. 455-460

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抄録

オーツならびに大麦から調製したガム質を, 遺伝性肥満Zuckerラットならびに同系で肥満を生じない正常ラットに摂取させて, 脂質代謝に及ぼす影響について, 標準飼料摂取群を対照として検討した。
オーツガム質ならびに大麦ガム質標品の成分分析の結果, それらはおもに非デンプン性グルカンで構成されていた。
動物実験の結果, 標準飼料を摂取させた遺伝性肥満ラットは, 正常ラットに比べて, 高脂血症ならびに肝臓の肥大および脂質蓄積, 体脂肪の蓄積が観察された。オーツガム質ならびに大麦ガム質を摂取させた肥満ラットは, 標準群に比べて, 肝臓中の脂質蓄積, ならびに, 血漿コレステコール濃度の上昇をそれぞれ抑制したが, 血漿トリグリセリド濃度はむしろ高い値を示した。各ガム質が, 正常ラットの血漿ならびに肝臓脂質濃度に及ぼす影響は肥満ラットよりも小さかった。
以上の結果, オーツガム質ならびに大麦ガム質は, 遺伝性肥満Zuckerラットの脂肪肝の発生ならびに血漿コレステロール濃度の上昇を抑制するなどの, 肥満に伴う症状を緩和することが認められた。

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