日本栄養・食糧学会誌
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冷蔵鶏胸筋の微細構造学的変化
北村 禎三
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1992 年 45 巻 3 号 p. 239-247

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抄録

ックホーン種成鶏の胸筋を5℃で7日間冷蔵し, この冷蔵した鶏の胸筋が硬直期および解硬期に示す食品組織学的変化を観察し, 冷蔵した鶏の胸筋の熟成過程を微細構造学の立場より明らかにした。
1) 冷蔵した鶏胸筋の硬直・解硬の状態を知る指標値として, 筋節の長さを測定した。その測定結果から冷蔵1日目は硬直期にあたり, 冷蔵3日目より解硬期に入った。冷蔵7日目は解硬が進行し, 自己消化が顕著であった。
2) 冷蔵中の鶏胸筋の筋細繊維は比較的安定で, 冷蔵3日目では, 筋細繊維のI帯部に亀裂が生じたが, 全体として微細構造の保持が良好であった。冷蔵5日目より, 筋細糸の遊離が始まり, 7日目では, 筋細繊維の著しい崩壊および筋細糸の欠損が認められた。
3) 冷蔵した鶏の胸筋のZ線およびミトコンドリアは不安定で, 冷蔵中におけるこれらの崩壊は筋細繊維の崩壊より早期に認められた。冷蔵1日目では, Z線に粒状化の傾向が起こり, 冷蔵3日目ではZ線の各所が切断された。また冷蔵3日目では, ミトコンドリアは膨化し, その外膜およびクリステが崩壊した。
4) 成鶏の胸筋の熟成期間は短く, 5℃で冷蔵した鶏胸筋の可食期間は, 屠殺後, 最大限5日間であった。

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