日本栄養・食糧学会誌
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卵巣摘出骨粗鬆症モデルラットの骨密度に対するグロビンの効果
麻見 直美森川 尚美星名 綾江澤 郁子
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1992 年 45 巻 3 号 p. 271-276

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抄録

研究では, DEXA法による骨密度測定, および従来より用いてきた骨代謝のパラメータを用いて, 卵巣摘出骨粗鬆症モデルラットの骨代謝に対するグロビン (ポリペブチド) の効果を検討した。
体重約150gの6週齢SD系雌ラットに卵巣摘出術を施し, 低Ca食 (Ca, 0.01%; P, 0.3%) で32日間飼育した後, カゼインのみをN源とするcontrol群 (18% casein) と, カゼインにグロビンを添加したglobin群 (18% casein and 0.24% globin) に分け27日間飼育した。
その結果, globin群はcontrol群に比べ,
1) 腰椎および脛骨骨密度において, 有意 (p<0.05, p<0.01) な高値を示した。
2) 大腿骨中Ca量において, 有意 (p<0.01) な高値を示した。
3) 大腿骨破断力および破断エネルギーにおいて, 有意 (p<0.001, p<0.05) に増強した。
4) 大腿骨新鮮重量・乾燥重量・灰化重量のいずれにおいても, 有意 (p<0.01) な高値を示した。
5) Ca吸収量においても, 増加の傾向がみられた。
以上よりグロビンは, 骨代謝に影響をあたえる素材として, 骨代謝改善に効果的であることが示唆された。

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