日本栄養・食糧学会誌
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騒音暴露ラットの脂質およびカルシウム代謝に及ぼす自発運動の影響
辻原 命子谷 由美子
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1993 年 46 巻 1 号 p. 47-52

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抄録

ラットを対照群 (C群) と騒音負荷群 (N群, 3,000Hz, 95ホン, 1目8時間負荷) に分け, N群はさらに非運動群 (NE群) と運動群 (E群) に分けて1週間または2週間または3週間飼育した後, 血液成分, 肝組織, 尿成分および大腿骨などを分析して騒音が脂質, カルシウムなどの代謝に及ぼす影響を検討した。合わせて精神的ストレスの緩和方法の一つとして一般に実践されている運動の効用も検討した。
1) 騒音負荷により, 飼料摂取量は影響されなかったが, 体重増加率は1週間と3週間飼育でむしろ増加した。
尿中コルチコステロン排泄量は, 騒音負荷によっていずれの飼育期間も有意に増加した。
尿中カルシウム排泄量/摂取カルシウム量は騒音負荷2週間まで増加し, 3週間でC群と差はみられなかった。
大腿骨カルシウム量は騒音負荷1週間で減少したが, 2週間以降増加した。
血清および肝臓TBA価はいずれも騒音負荷によって上昇した。
2) 騒音下で運動を負荷した場合, 尿中コルチコステロン排泄量はいずれの飼育期間も騒音負荷による上昇が運動で抑制された。
尿中カルシウム排泄量/摂取カルシウム量は1週間飼育で騒音による増加が運動で抑制された。
大腿骨カルシウム量は1週間飼育の運動負荷で騒音による減少が抑制され, 2週間飼育ではC群よりさらに増加した。血清TBA価, 肝臓TBA価とも騒音負荷による上昇が運動によりおおむね抑制された。

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