日本栄養・食糧学会誌
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ラットの血清と肝臓脂質濃度に及ぼす菜種リン脂質投与の影響
細山田 康恵古居 由紀黒田 圭一小畠 義樹
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1993 年 46 巻 6 号 p. 495-501

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抄録

精製菜種リン脂質の血清と肝臓脂質濃度に及ぼす作用を他のリン脂質と比較検討するために, ラットに5%リン脂質添加飼料を投与し, 高コレステロール付加飼料と普通飼料投与時について, 血清, 肝臓中の脂質濃度に及ぼす作用を検討した。
1) 高コレステロール飼料条件において, 菜種リン脂質は大豆, 卵黄の各リン脂質と同様にオリーブ油 (対照) と比較し, 強い血清コレステロール上昇抑制作用を示した。また, 肝臓の総コレステロール濃度では菜種リン脂質は他のリン脂質同様に低下作用を示した。みかけのコレステロ一ル糞中排泄率はいずれのリン脂質投与でも対照の2倍以上に増加していた。
2) 4週間の普通飼料投与条件で大豆油 (対照) との比較において, 菜種リン脂質は成長に障害は認めなかった。菜種, 大豆の各リン脂質投与では血清総コレステロールとHDL-コレステロールの各濃度は低下したが, 総コレステロールに対するHDL-コレステロ一ルの比率は菜種リン脂質では低下しなかった。また, いずれのリン脂質投与でも肝臓総コレステロ一ルは低下した。
これらの結果から, 菜種リン脂質は他の大豆, 卵黄リン脂質とリン脂質組成, 脂肪酸組成がかなり異なっていたが, 血清と肝臓脂質に対して似た作用をもつことを認めた。

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