日本栄養・食糧学会誌
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人乳シアル酸含量の泌乳期変化
井戸田 正松岡 康浩菅原 牧裕村上 雄二伊井 直記土岐 良一浅居 良輝中島 一郎
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1994 年 47 巻 5 号 p. 357-362

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抄録
全国46地区で採集した人乳2, 279検体を用いて総シアル酸含量を泌乳期, 季節, 地域別に測定した。また, クリーム, 脱脂乳中のシアル酸含量, さらには脱脂乳を12% TCAで分画した上清と沈澱中に含まれるシアル酸含量を泌乳期別に測定した。人乳中の総シアル酸含量は分娩後3~5日の約150mg/100mlから分娩後121~240日の約32mg/100mlまで減少した後ほぼ一定値を維持した。また, 夏季乳に比べて冬季乳で高値傾向を示したが, 地域間に一定の傾向は認められなかった。総シアル酸含量に対するクリーム, 脱脂乳, 12% TCA可溶性および不溶性画分中のシアル酸含量の含有比は互いに異なった泌乳期変化を示した。すなわち, 初乳から成乳へと泌乳期が進むとともに, クリーム中のシアル酸の含有比は4%から12%へと増加したが, 脱脂乳中のシアル酸の含有比は96~99%から88%へ, 12% TCA不溶性画分のシアル酸の含有比は24%から15%へと減少した。12%TCA可溶性画分のシアル酸の含有比は72~77%と全泌乳期を通してほぼ一定値を示した。
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