抄録
1) 亜鉛欠乏または亜鉛適量の飼料を前飼料として10日間与えたラットに10%と20%タンパク質飼料の2種類の飼料を同時に与え, その選択性を調べた。亜鉛適量条件で選択したラットでは20%タンパク質飼料の摂取量が増加し, 亜鉛欠乏条件で選択したラットでは20%タンパク質飼料の摂取量が減少した。10%タンパク質飼料の選択摂取量は, 前飼料中のタンパク質量, 亜鉛量の影響を受けず, また摂取している飼料中の亜鉛量の影響を受けなかった。
2) 前飼料中の亜鉛量の影響は, その後の選択摂取開始3日間の飼料の摂取量についてみられたが, それ以降の摂取量は摂取している飼料中の亜鉛量の影響を受けた。
3) 0%および20%タンパク質亜鉛欠乏飼料の2種類の飼料を選択させたラットは9日目以降20%タンパク質飼料を選択せず, 無タンパク質飼料をおもに選択したその結果, それぞれの飼料を単独で摂取したラットに比べて生存期間は延長した。
4) ラットは体内亜鉛状態を維持するためにタンパク質の摂取量を調節できることが示唆された。