日本栄養・食糧学会誌
Online ISSN : 1883-2849
Print ISSN : 0287-3516
ISSN-L : 0287-3516
新高繊維食品素材“おからテンペ”のハンバーグとカツプケーキへの活用
松尾 眞砂子
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 48 巻 2 号 p. 141-145

詳細
抄録

おからテンペ (OT) を新しい食品素材として, 優れたレオロジー的特性を活かした用途の開発を目的とし, OTの保水性, 吸油性, 抗酸化性に基づく新たな効用を検索するためミンチ状にしたOTをハンバーグに, 粉末状にしたOTをココア風味のカップケーキに添加し, OTがそれらのレオロジーと官能に及ぼす影響を調べた。OTで合挽ミンチの20%を置換してハンバーグを調製するとドリップや焼き縮みが少なく, 4℃に保存しても生地が硬化しなかった。また味, 香り, 硬さとなめらかさに関する官能検査を行うと総合評点は無添加品の評点と大差がなかった。したがって, ミンチ状OTはハンバーグ素材として合挽ミンチの20%まで置換でき, しかも焼き縮みが少なく, 焙焼後低温に保存しても硬くならない効果を期待できた。
OTで小麦粉の10%を置換して調製したココア風味カップケーキは4℃に保存しても生地の硬化やデンプンの老化が防止された。また, 40℃に保存すると油脂の酸化が抑制された。官能検査による総合評点はOT添加品と無添加品の間に差がなかった。したがって, 粉末OTはココア風味カップケーキ素材として小麦粉の10%まで置換でき, 貯蔵による生地の硬化, デンプンの老化, 油脂の酸化を防止することを期待できた。これらの結果は, OTは食品の加工・保存性を高める添加剤としても優れていることを示していた。

著者関連情報
© 社団法人日本栄養・食糧学会
前の記事 次の記事
feedback
Top