日本栄養・食糧学会誌
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熱ギ酸溶液による草類の純タンパク質の抽出率
草類タンパク質の栄養価に関する研究 (第28報)
保井 忠彦
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1995 年 48 巻 5 号 p. 385-390

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抄録

草類から食飼料に適したタンパク質を比較的簡便に, かつ高収量で分離するための方法を確立するため, その一つとして, ギ酸溶液を用いるタンパク質の抽出条件を検討した。その結果は次のとおりである。
1) ギ酸溶液を用いて, 草類のタンパク質を抽出するには, 20%ギ酸溶液を用い, 試料を2時間ずつ, 水浴中で, 4回反復加熱処理することが, 最大の収量を得る条件であった。しかし, 実用上, 2回または3回の加熱処理でよい。
2) 用いた各試料の純タンパク質抽出率 (10% TCA溶液沈澱性) は70%以上であった。ホウレンソウ1でのそれは71%で, 界面活性剤での純タンパク質抽出率86%よりかなり低く, 本法は不適切であった。他の試料の純タンパク質抽出率 (10% TCA溶液沈澱性) はスギナ1, 2は71%, ギンネムの葉1は75%, スギの葉2は73%, ワラビ2は77%であった。ギンネムの葉1とワラビ2は5%有機酸混液と界面活性剤を用いた場合より純タンパク質の抽出率は高かった。

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