日本栄養・食糧学会誌
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境界域高脂血症被験者におけるグロビンタンパク分解物の血清トリグリセリド低下作用
香川 恭一福浜 千津子藤野 博昭奥田 拓道
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1999 年 52 巻 2 号 p. 71-77

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抄録

グロビンタンパク分解物 (GD) は食事性高TG血症を抑制することが知られている。今回清涼飲料水に添加されたGDの有効摂取量を検討した。正常人に, 脂肪過多な食事に相当する脂肪40gとGDを摂取させて検討した。GD 0.5gを投与した場合, AUC (0-6時間) 値は対照群に比して有意差を認めなかったが, GD1gを投与するとAUC値が有意に減少した。したがって, GDの有効量は1gであると考えられた。
空腹時血清TGが1.10-1.50g/Lである被験者 (境界域高TG血症者) に対して脂肪40g負荷と同時にGD1g投与を行うと, 血清TG, カイロミクロン (CM)-TGの上昇が抑制され, AUC値も有意に低下した。GDの血清TG上昇抑制効果は正常人よりも境界域高TG血症者で強く発現したことから, 境界域高TG血症者において治療を要する循環器系疾患発症のリスクを軽減するのに有用であることが推測される。
GDの作用は消化管からの脂肪吸収を抑制するとともにTG, CM-TGの異化速度を促進させるものと考えられた。さらにVLDL値にも上昇が抑制され, 脂肪の吸収抑制とともにCMレムナントの低下が示唆された。

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