日本栄養・食糧学会誌
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古米および輸入米の品質改良方法に関する研究
満田 久輝山本 愛二郎大南 弘中村 徹雄
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1999 年 52 巻 2 号 p. 91-96

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抄録

古米や輸入米などの品質改良方法の開発を目的として, 温水処理等の浸漬処理法が炊飯米のテクスチュロメーターでの物性値や呈味に及ぼす効果について検討した。その結果,
1) 少量炊飯では, 常温で1年間, 密閉保存された古米の場合, 50-65℃, 2時間の温水処理により炊飯米の粘りが著しく強まった。とくに加水量の少ない場合にその効果が大であった。
2) 普通炊飯では, 55℃, 24時間の温水処理により常温および低温保存米の食味適性指数がコントロールの新米に匹敵するほど有意に上昇した。さらに, 10年間も低温密閉保存されていた長期保存精白米の場合にも, 50℃, 24時間の温水処理により食味適性指数の向上が認められた。
3) 常温で1年間, 開放保存された精白米の食味適性指数も40℃, 2時間あるいは8時間の温水処理により有意に改善された。
4) 平成6 (1994) 年産の古米と同年に輸入されたオーストラリア産米について, 米飯中のヘキサナール量を測定した結果, それぞれ0.2ppmおよび1.6ppmが検出された。40℃, 8時間の温水処理後の炊飯ではヘキサナール量はそれぞれ半減した。
5) 新米と古米の炊飯米について遊離アミノ酸分析を行った結果, アルギニン, バリン, アラニン, グルタミン酸, セリン, アスパラギン酸などが検出された。古米ではグルタミン酸, アスパラギン酸, アルギニンなどが新米よりやや低値であった。
古米や輸入米などの食味改善には種々の試みがなされてきたが, 温水処理によるテクスチュロメーターでの物性値やフレーバーの改善も有効であろうと思われる。

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