日本栄養・食糧学会誌
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サイリウムはハイアミロースコーンスターチのラット大腸内発酵を制御し遠位結腸および糞便中の酪酸濃度を高める
笠岡 誠一森田 達也長谷 耕二桐山 修八
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1999 年 52 巻 6 号 p. 365-372

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抄録
本実験では, 遠位結腸内容物および糞中の酪酸濃度を高める目的で, PSの同時摂取によるHASの大腸末端へのデリバリーを試みた。HASのみを添加した群 (2.5%HAS飼料群) の盲腸内酪酸濃度は, 対照群 (CS飼料群) に比べ有意に高い値を示した。2.5% HAS飼料群の酪酸濃度は, 消化管に沿って急速に低下し, 糞中酪酸濃度はCS飼料群とほぼ同様であった。一方, HASと同時にPSを添加した群 (2.5% PS+2.5% HAS飼料群) の酪酸濃度は, 全消化管を通じ比較的高い値を維持し, 糞中では2.5% HAS飼料群に比べ有意に高い値を示した。2.5% PS+2.5% HAS飼料群の糞中スターチ排泄量は2.5% HAS飼料群に比べ有意に高い値を示し, 糞中スターチ排泄量と糞中酪酸濃度との間には有意な正の相関が認められた。以上の結果から, HASと同時にPSを摂取することで, HASの大腸内発酵は制御され, 盲腸での発酵を免れたHASは遠位結腸での酪酸濃度を高めると考えられた。
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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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