日本栄養・食糧学会誌
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食餌由来コレステロール酸化物が誘発するラットの脂質代謝変動に対するワインポリフェノールとドコサヘキサエン酸高含有魚油の同時摂取効果
荻野 大和山崎 晴美長田 恭一中村 信吾山谷 修菅野 道廣
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2001 年 54 巻 1 号 p. 19-28

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抄録

外因性コレステロール酸化物 (OxChol) が引き起こすラットの脂質代謝変動に対し, ワインポリフェノール (WPP) とドコサヘキサエン酸高含有魚油 (DHA) を同時摂取させ, OxCholによる代謝変動の改善を試みた。対照群 (ポリフェノール無添加, 食餌脂肪はサフラワー油) で認められたOxChol摂取による肝臓Chol生合成とChol異化の低下は, WPP+DHA摂取群で改善される傾向にあった。また, OxChol摂取で亢進される肝臓リノール酸不飽和化律速酵素活性は, WPP+DHA摂取群で有意に低下した。さらに, WPP+DHA摂取群の糞中へのOxChol排泄量が高いことを反映して, 血清と組織中のOxChol濃度は低下する傾向にあった。このように, WPPによる小腸でのOxChol吸収阻害とDHAによる脂質代謝修飾作用が相互に発揮されてOxCholが誘発する肝臓の脂質代謝変動は改善されるものと考えられる。

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