日本栄養・食糧学会誌
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ドコサヘキサエン酸富化 Chlorella vulgaris CK22株のヒトにおける安全性および血清脂質濃度に対する影響の予備的検討
田中 邦明小西 史子丸山 功雪野 繼代木柎 久雄熊谷 多妙子羽田 尚彦林 雅弘
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2002 年 55 巻 6 号 p. 323-330

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抄録

DHA富化クロレラ, Chlorella vulgais CK22株 (D-CVP) を中年健常人6名に9週間投与した場合の安全性および血清脂質への影響を検討した。安全性への配慮から, 最初の6週間はD-CVPを, 2週間ごとに1日当り4g (DHA含有量: 150mg), 8, 12gと順次増量し, 最後の3週間は20gとして, 合計9週間投与した。開始時, 空腹時血清総コレステロール (T-CHO) 値は5名が, またトリグリセリド (TG) 値は1名のみが正常範囲より高い値を示していた。今回のDHA富化クロレラの9週間の投与条件では, 体重や血圧, 体脂肪率等への影響は認められなかった。DHA富化クロレラ投与後の血清DHA濃度の変動については, 個体差が大きく評価できなかったが, 血清T-CHO値はDHA富化クロレラの6週間の投与で明らかな低下を示すとともに, さらなる3週間の投与期間および投与終了後3週間以上この状態が維持され, 終了後6週間でほぼ投与前の値にまで戻った。LDL-コレステロールやエステル型コレステロールも同様の変化を示した。HDL-コレステロールは9週間の投与でのみ有意な低下を示した。TG値にはDHA富化クロレラ投与による影響はみられず, その他の血液生化学的, 血液学的検査項目にも影響がなかった。以上, D-CVPは軽度高脂血症の健常人に対して安全に投与できることがみこまれるとともに, 軽度高脂血症の予防や改善に寄与する可能性が示された。

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