日本栄養・食糧学会誌
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バニリルノナンアミド-β-D-グルコシドによる高脂血症ラットの血清脂質低下作用
谷 由美子藤岡 敏明浜田 博喜国松 己歳古市 幸生
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2003 年 56 巻 3 号 p. 181-187

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抄録

9週齢 Wistar 系雄ラット18匹を, 1%コレステロール添加20%ラード食を対照群として, これに0.003%または0.03%バニリルノナンアミド-β-D-グルコシドを添加した0.003%配糖体群, 0.03%配糖体群の3群に分け, 自由摂取で4週間飼育した。配糖体投与によって, 血清総コレステロール, トリグリセリド, 動脈硬化指数および肝臓総脂質, トリグリセリドは濃度依存的に低下した。肝臓コレステロールも配糖体群で低下し, 糞中コレステロール排泄率は上昇した。0.003%群ではアセチルCoAカルボキシラーゼ (ACC) [EC6.4.1.2], 脂肪酸合成酵素 (FAS) 活性とも低下し, 肝トリグリセリドリパーゼ (HTGL) [EC3.1.1.3] 活性は0.03%群で上昇した。脂肪組織のリポプロテインリパーゼ (LPL) [EC3.1.1.34] 活性は配糖体群で高く, 0.003%群が最も高値を示し, LPL mRNA発現量も配糖体群において上昇した。すなわち, 辛味度の低いバニリルノナンアミド-β-D-グルコシドの投与によってカプサイシンと同様に脂質代謝改善作用が認められた。

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