日本栄養・食糧学会誌
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高リン食におけるカルシウム利用にラット系統の違いが及ぼす影響
前田 宜昭青山 美子五島 孜郎阿左美 章治
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2004 年 57 巻 1 号 p. 9-13

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抄録
ミネラル混合にハーパー塩を用いて高リン食で飼育した幼若期の Wistar 系, Fischer 系, Sprague-Dawley 系および Donryu 系雄ラットのカルシウムリン出納と腎臓中カルシウム含量について検討を行った。各系統のラットは, 0.5%もしくは1.5%のリンを含んだ飼料で3週間にわたり飼育し, 糞と尿は最終週に採集した。すべての系統において飼料摂取量は, 高リン食投与により有意に減少し, 系統の違いも観察された。Ca利用に対する高リン食の影響については, Wistar 系ならびに Sprague-Dawley 系ラットが対照群と同様の傾向を示したが, Fischer 系ラットのCa吸収率と保留率ともに, 対照群に比べて有意に高値を示した。Donryu 系ラットのCa吸収率と保留率は, 対照群に比べて有意に低値を示した。すべての系統において腎臓中Ca含量は, 高リン食の投与により有意に高値を示し, Ca含有量に系統の違いがみられた。以上のことから実験動物におけるCa利用に及ぼす食事中リン量の影響は, 高リン食による飼料摂取量の抑制割合と深く関係していることが示唆された。
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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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