抄録
共役リノール酸 (CLA) は, 反芻動物由来の食肉や乳製品中に含有する微量脂質成分で, リノール酸の位置・幾何異性体の総称である。これまでにCLAには抗がん作用, 抗肥満作用, 抗動脈硬化作用, 抗糖尿病作用などの生理作用が報告されているが, ごく最近, 抗高血圧作用も見いだされている。すでにCLA異性体の違いによる生理作用の違いについても報告されており, 10t, 12c型は抗がん作用, 抗肥満作用, 抗糖尿病作用を, 9c, 11t型は抗がん作用をもつことが示唆されている。また動物種による応答の違いも一部認められている。ヒトにおけるCLAの生理作用に関しては, ポジティブな効果も報告されているが, 信頼のおける評価を得るにはさらなる臨床研究が望まれる。