日本栄養・食糧学会誌
Online ISSN : 1883-2849
Print ISSN : 0287-3516
ISSN-L : 0287-3516
緑茶ポリフェノール摂取はラットのタンパク質利用と盲腸内発酵を抑制する
大西 竜子伊賀 契子桐山 修八
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 58 巻 4 号 p. 199-208

詳細
抄録

緑茶ポリフェノール (GP) の有用な生理作用はよく論じられている。一方, 一般に植物ポリフェノール類は in vitro でタンパク質とよく結合することも知られている。そこで, GPを飼料に0.2%または0.4%添加したとき, タンパク質の消化がどのように変化するのかをラットを用いて調べた。その結果, GPはタンパク質のみかけの消化率を低下させることが再現性よく示された。この飼料に1%グリシンを添加しても消化率の低下を阻止できなかった。また, GPと結合して難消化性となったタンパク質は大腸に流入することになるが, これがいわゆるレジスタントプロテインとして活用されるかどうかを知るため, レジスタントスターチ (高アミローストウモロコシデンプン, HAS) 含有飼料を摂取させたときのラットの盲腸内発酵がGPの有無でどのように変化するかを検討した。その結果, GP摂取によって盲腸内有機酸濃度は有意に低下し, GPは添加レベルに対応して強力な発酵抑制作用を示した。以上の結果からGP摂取は小腸内ではタンパク質の消化を低下させ, また大腸内発酵をも抑制することがわかった。用いた0.4%GP飼料から摂取されたGP量を基に, ヒトの栄養素等摂取量について重量比で換算すると, 緑茶11杯/日に相当し, 日常の食生活で十分摂取可能な量である。したがって, GPの有効な生理活性を強調するあまり, 過度の摂取を奨励する場合には, 注意が必要であると思われる。

著者関連情報
© 社団法人日本栄養・食糧学会
前の記事 次の記事
feedback
Top