2023 年 40 巻 2 号 p. 112-116
症例は76歳男性.2型糖尿病でinsulin glargine使用中にhemichorea–hemiballismusが出現し,夜間低血糖を繰り返していたことによる糖尿病性舞踏病と診断した.入院時の血糖値,HbA1cは正常範囲内であったが,繰り返す夜間低血糖が原因と考えた.高血糖による舞踏病様不随意運動はよく知られているが,低血糖や急激な血糖値の補正でも同症状を来すことが報告されている.一度の血糖値やHbA1cで異常を認めない場合にも,特にインスリンなどの低血糖発症リスクの高い治療薬を用いている症例では,低血糖による不随意運動である可能性を念頭に置く必要があると考える.