抄録
食品ロスは環境資源を不必要に浪費するため,世界的な問題として取り上げられている.特にリテールベーカリーでは,商品の消費期限が短い一方で多様性が求められることから,食品ロスが発生しやすい.そのため,商品の仕込み量を慎重に決定する必要があるが,これは属人的な要素が強く,販売経験に基づく専門知識が必要とされる.したがって,個人の力量に依存しない予測システムの導入が求められている.本研究では,パンの仕込み量を予測,分析するためのシステムの開発に向けて,一般化状態空間モデルを用いた予測モデルの構築を行なった.この過程で,モデルの定式化,時系列交差検証,パラメータの推定を実施した.その結果,予測モデルが仕込み量の決定における法則性を捉えている可能性が示唆された.また,曜日や総降水量が仕込み量に有意な影響を与えることが確認された.今後はデータ整備を進め,より信頼性の高い一般化されたモデル構築を目指す.
キーワード:SDGs,食品ロス対策,時系列分析,状態空間モデル,特徴量選択