抄録
本研究では,プロスペクト理論に依拠して若者(大学生)の情報行動を効用の観点から実証的に明らかにした.理論の適用にあたっては,①経験効用から決定効用への変化,②参照点としての現状の満足感,③損失回避性という三つの構成要素に着目した.分析では,知的・感覚的・情緒的情報に対する効用の差異を比較検討した.その結果,若者の情報効用は総じて高い水準で充足しており,なかでも感覚的情報に対する満足感が高いことが明らかとなった.また,感覚的情報に対する効用は,知的・情緒的情報に比べて,経験効用から決定効用への変化量が大きく,過去の印象と現時点での評価とが一致する傾向が確認された.これらの結果は,若者は情報そのものに楽しさや自己充足を見出しつつ,効用の低下を回避しながら情報行動を維持・継続していることを示唆している.