知能と情報
Online ISSN : 1881-7203
Print ISSN : 1347-7986
ISSN-L : 1347-7986
原著論文
評価表現による印象推定と傾聴型対話システムへの応用
大竹 裕也萩原 将文
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 26 巻 2 号 p. 617-626

詳細
抄録

 本論文では,評価表現を用いた印象推定と傾聴システムへの応用を提案する.提案システムの目的は,ユーザとなる高齢者の「話したい」という意欲を促進させるような,話の聞き役となることである.ユーザの発話意欲を促進させるには,ユーザの発話内容から感情を推定し,その感情を考慮した発話が重要となる.そこで,提案システムでは応答文生成にあたり,ユーザ入力文から話題語と評価表現を抽出し,それぞれの語の印象を推定し,それに基づいた応答文の生成を行った.印象推定には複数の言語資源を組み合わせ,評価を表す語約7000語が収録されている辞書や,印象推定の結果より名詞約20万語から成る辞書を作成した.応答文生成では,相手の感情を汲み取り発話する,といった心理カウンセラーが用いる傾聴法を参考に,ユーザの入力文から印象推定を行い,それに基づき相手の感情や発話を促すことを目的とした応答文を生成する対話システムを作成した.評価実験により,提案システムが高齢者の発話を促すことが可能であり,満足のいく話し相手となれることが示唆された.

著者関連情報
© 2014 日本知能情報ファジィ学会
前の記事 次の記事
feedback
Top