抄録
本論文では,複数の言語資源を用いたユーモアを含む対話システムを提案する.提案システムでは,以下の2点を考慮した.第1に知識の利用である.知識には,複数の言語資源を用いた.具体的には,日本語WordNetと日本語語彙大系の2つの概念辞書に,Wikipediaに登録されている固有名詞を追加する.さらに,京都大学格フレームから得られる格フレーム情報を用いて,概念と用言を結合する.第2にユーモアの利用である.実際の笑芸で用いられる手法を基に,システムに駄洒落,喩え,かぶせといったユーモアを導入する.提案する対話システムでは,まずユーザの入力文を解析し,表層格情報,述語,話題語の抽出を行う.そして入力文の素性と過去の応答パターンからユーモアを用いるか否か,ならびに応答パターンの決定を行う.応答には話題語や述語,そして概念と用言のリンク情報を用いて文を生成する.評価実験では,ユーモアを含む場合,及び含まない場合で提案システムを使用し,システムの比較評価を行った.その結果,ユーモアを用いることで多様な応答を実現し,システム満足度が上昇したことが確認された.また,提案システムはWebを使用しないことで高速な応答が可能となっている.