2020 年 32 巻 1 号 p. 518-522
オノマトペには複数の意味を持つ語が多く存在する.例えば「ごろごろ」は「雷がごろごろ鳴る」,「家でごろごろする」のように異なる意味で用いられる.従来研究から,オノマトペの語義推定には係り先動詞が手がかりになることがわかっている.しかしながら,動詞を伴わない事例やより広い文脈の考慮が必要な事例も多い.本稿では汎用言語モデルであるBERT pretrainedモデルを用いて,オノマトペの出現文脈を考慮した語義分類の可能性を検討する.2種類のオノマトペ「ごろごろ」「ばたばた」を対象に語義分類の評価実験を行った結果,それぞれの正解率が73.9%,57.8%となった.分類性能は語義によって大きな差があり,訓練データに多く含まれる語義においては良好な性能を達成した.