知能と情報
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ショートノート
ウェアラブル脳波計測器を用いたα波の事象関連脱同期とデフォルトモードネットワークの解析
伊東 嗣功鈴木 亜暉仁石井 雅樹堂坂 浩二
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2020 年 32 巻 2 号 p. 663-667

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抄録

脳波計測デバイスの小型化により,日常生活中の脳波計測による脳疾患の早期発見,注意散漫状態の早期検出も可能になりつつある.しかしながら,実際にウェアラブル脳波計測デバイスを利用した研究報告は近年増加してきているが,ウェアラブル脳波計測デバイスによる視覚的注意に関する研究報告は少ない.そこで本研究では,ウェアラブル脳波計測デバイスを用いて,提示画像に注意が向けられた際のデフォルトモードネットワークとα波の事象関連脱同期の関係性を解析した.実験参加者の安静状態と画像提示中のα波スペクトルを比較すると,安静状態よりも画像提示時にスペクトルの減少が確認された.α波スペクトルの減少は提示画像に注意が向けられた際に発現する事象関連脱同期と考えられる.さらに,安静状態と画像提示中の結合状態を算出した所,画像提示中の結合マップは安静状態と比較して前頭部と後頭部間の電極間で相関値が小さくなる傾向を示した.これはデフォルトモードネットワークの賦活状況を反映した外側側頭部の相関値の変化を捉えたと考えられる.

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© 2020 日本知能情報ファジィ学会
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