2020 年 32 巻 5 号 p. 903-906
本稿では,目的外行動を行うAI(out of purpose behavior AI: OAI)と呼ぶ,ゲーム本来の目的とは異なるプレイを行うAIの構成方法について検討する.OAIの設計では,人間は自らの価値観に基づいて行動の目標設定を行う,という発想に基づき,ゲームのプレイ状況に応じた目標設定を自動で調整するための「価値観」と,その調整の基準となる「愛着」をシステム化した.実験結果より,迷路ゲームのマップ上で図形を描くという目的外行動において,OAIはより愛着の強い図形を多く描くようにプレイ傾向を変化させたことを確認した.