2024 年 36 巻 1 号 p. 527-531
運動障害を伴う脳性麻痺の治療には日常的な歩行機能評価が極めて重要となる.しかしながら,歩行機能を評価するためには光学式モーションキャプチャなどの高価な機器と高度な専門知識が必要となるため,日常的に歩行機能評価を行うことは容易ではない.そこで本研究では,特殊な装置や専門知識を必要とせず,一般的なカメラによって撮影された歩行動画から歩行機能を評価するシステムの構築を目指す.ここでは研究の第一段階として,スマートフォンなどのカメラにより撮影された被験者の歩行動画から深層学習を用いて各関節位置の時系列変化を推定し,歩行の異常度を評価する手法を提案する.また,本論文では実際の脳性麻痺患者の歩行動画から作成されたデータセットを用いた評価実験を行い,提案法により得られた異常度と臨床現場で用いられる歩行機能指標との関係性についても検討した.実験の結果,提案法により患者の歩行機能の異常度を推定できる可能性が示唆された.