2024 年 36 巻 3 号 p. 655-665
日本知能情報ファジィ学会のミニ四駆AI大会実行委員会は,2014年頃からマイクロコンピュータ,センサ,モータドライバなどを搭載したミニ四駆AI車両による競技会を開催している.ミニ四駆を含む自動車がコース上で速く走るためには,平均速度を高く維持することが重要である.さらに,ミニ四駆AIの研究を発展させるためには,最速で走行できる車両を設計する方針を工学的理論,計算式,数値で示すことが重要である.本研究の目的は,ミニ四駆の運動性能の理論を自動車工学理論に基づいて明確にすることと,逐次経験強化型学習アルゴリズムであるProfit Sharing法を用いたAIシステムの設計と学習結果を示すことである.研究の結果,車両速度を段階的に変化させることで高速を維持する学習効果が得られることが示された.また,運動性能の観点からは,スロープで減速した後の再加速能力を高めて平均速度を向上させる必要があることが示された.