本研究では,ある人物の発話中の顔映像をもとに,人物の変更や表情の調整を反映した映像を生成できる手法を提案する.提案手法は,First Order Motion Model(FOMM)をベースとしつつ,ソースに表情・視線変化を施すことのできる機構を組み込むことで,生成動画の表情・視線を任意に制御することを実現している.FOMMではソースの動画をターゲットの動画に転移させる手法であるのに対して,提案手法ではソースの特徴ベクトルに表情・視線変化を表す差分ベクトルを付加した上でFOMMを適用する.また,表情表出の度合いと視線方向を制御する重みを時間的に疎な時系列信号として記述することで動画を生成することも可能である.提案手法により多様な顔表情映像を生成し,適切に表情・視線の変化が制御されつつも違和感や破綻のない自然な動画が生成できることを確認した.