2025 年 37 巻 1 号 p. 577-581
立ち上がり動作は困難になると生活の質が大きく低下するため,最も重要な動作の一つである.この動作には転倒などを引き起こす運動器の質的劣化を評価するための多くの情報が含まれていると考えられる.本研究では,身体特性の違いが立ち上がり動作のどのような側面に表れるかを特定して運動器の機能レベルを定量的に評価する技術の開発を目的として,ガウス過程力学モデル(GPDM)を用いた立ち上がり動作の分析に取り組んだ.高齢者疑似体験教材の装具類により身体制約を疑似的に課した動作条件下での立ち上がり動作データにGPDMを適用して低次元の潜在変数モデルに作成し,得られたモデルの出力の分析を通じて動作条件の身体の動きへの影響について検討した.その結果,装具により生じた体の動かしやすさの左右バランスの違いが,立ち上がり動作開始から臀部離床完了までの姿勢変化における横方向の重心移動に影響するなどの微妙な体の使い方の変化を特定できることが確認された.