2026 年 38 巻 2 号 p. 646-659
本論文では,ロボットがマナーを備え,人間に配慮した柔軟な行動をとることを目的として,LLMを用いて周囲の環境情報を基にマナー判定を行うインタラクションシステムJudging manner interaction system(Jmis)を提案する.人間とロボットの共存空間においてロボットは,人間の存在を積極的に配慮して柔軟な行動をとることや,与えられた指示を倫理的観点から判断し,不適切な場合には拒否する能力が必要となる.そこで,Jmisをロボットに導入することで,Jmisのマナー判定モジュールとマナー改善モジュールにより,ロボットがマナーを備え,人間に配慮した柔軟な行動をとることを実現する.マナー判定モジュールはLLMを用いてロボットがとる行動(目標,目標達成のためのアクション)が社会的マナーを守れているかを判定する.さらに,マナー改善モジュールでは,マナーを守れていないと判定された行動について,周囲の人間とコミュニケーションを図ることでマナーが改善されるのかをLLMを用いて判断し,発話内容を生成する.Jmisのマナー判定モジュールとマナー改善モジュールの有効性を検証するため,Jmisを導入したロボットの振る舞いに対する印象を調べる評価実験を行った.結果,シミュレーション環境と実環境のどちらにおいても,Jmisを用いたロボットの方が好ましさと知性の知覚の点で優れているという印象を実験参加者に与えることができた.また,マナーを備えたロボットの方が行動の意図が伝わりやすいことが示された.