日本口腔インプラント学会誌
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原著
β-TCP によるイヌ顎骨のインスリン成長因子受容体1の発現とそのリン酸化の促進
髙橋 徹次バワール ウジャールクマール水上 哲也渡辺 孝夫髙橋 常男安孫子 宜光
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2012 年 25 巻 3 号 p. 453-460

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抄録

β-TCP は骨形成を促進すると報告されているが,その機序については不明な点が多い.ビーグル犬の下顎骨の骨欠損部にβ-TCP を填入することで骨形成を促進され,また,顎骨組織中のIGF 遺伝子の発現増大が報告されている.IGF は,骨芽細胞で豊富に産生され,細胞増殖,分化に重要な役割を発揮する成長因子である.しかし,β-TCP による顎骨のIGF シグナリングの活性化の機序については不明である.本研究では,インプラントドリルでビーグル犬下顎骨に骨欠損を作成してβ-TCP を填入した.そしてIGF 受容体1 (IGF1R)の遺伝子発現への影響についてRT-PCR およびリアルタイムPCR 法を応用して調べ,さらにタンパク質発現を免疫組織学的に検証した.
その結果,対照群に比べて,IGF1R 遺伝子の発現がβ-TCP によって促進し,さらに,IGF1R タンパクおよびIGF1R リン酸化の促進が確認された.これらのことから,β-TCP によるIGF1R 遺伝子発現およびリン酸化は骨形成促進の機序の一部であることが示唆される.

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© 2012 公益社団法人日本口腔インプラント学会
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