日本口腔インプラント学会誌
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調査・統計・資料
パノラマエックス線写真上の下顎管の明瞭度と下顎臼歯歯槽部の骨密度に関する検討
立浪 秀剛津野 宏彰布施 浩樹能登 善弘野口 誠
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2018 年 31 巻 3 号 p. 225-231

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抄録

目的:パノラマエックス線写真上の下顎管の明瞭度と,CT画像で評価した下顎臼歯歯槽部の骨密度との関係について検討し,パノラマエックス線写真でのインプラント埋入部の骨密度のスクリーニングの意義について考察することを目的とした.
方法:パノラマエックス線写真とCT撮影を行った50歳以上の患者99名の無歯顎もしくは下顎大臼歯部の遊離端欠損例70側と下顎大臼歯部に欠損を認めない77側,計147側を対象とした.パノラマエックス線写真で下顎管の明瞭度を3群(TypeⅠ:下顎管の上下端が明瞭,TypeⅡ:下顎管の上端が不明瞭,TypeⅢ:下顎管の上下端ともに不明瞭)に分類した.また,各症例のCT画像を用いて下顎臼歯歯槽部の骨密度の評価を行い,これらの所見の関係について検討した.
結果:パノラマエックス線写真で下顎管の明瞭度が低下する症例では,CTにおける頬側および下縁側の皮質骨と海綿骨幅が減少していた.また,下顎管の明瞭度分類による下顎管内のCT値には差が認められなかったが,下顎管外周部のCT値に有意な差が認められた.
結論:パノラマエックス線写真上で下顎管が不明瞭な症例では,インプラント埋入部の皮質骨の幅と割合,CT値が低下する傾向を認めた.よってパノラマエックス線写真上の下顎管の明瞭度により,インプラント埋入部の骨密度のスクリーニングが可能となることが示唆された.

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