日本口腔インプラント学会誌
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原著(基礎研究)
プラットホームの形態がラット口蓋歯肉のⅫ型コラーゲンと細胞接着因子の発現に及ぼす影響
都築 尊堤 貴司後藤 加寿子松浦 尚志谷口 祐介加倉 加恵城戸 寛史
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2018 年 31 巻 3 号 p. 216-224

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抄録

目的:本研究の目的は,粘膜貫通部がストレートのインプラント(NPS)と,プラットホームスイッチングを模倣したインプラント(PS)の周囲粘膜における細胞外基質および細胞接着因子の発現について比較検討することである.
方法:NPSとして直径0.93mm,長さ3.5mmのチタン製インプラントを用いた.PSとして同サイズのインプラント粘膜貫通部に0.3mmのくびれをもつチタン製インプラントを用いた.10週齢SDラット雄の口蓋にインプラントを埋入した.実験動物はインプラント埋入後2週間,4週間後に屠殺した.NPS群,PS群,偽手術群に分け,NPS群とPS群それぞれの粘膜貫通部口蓋歯肉および偽手術群の口蓋歯肉を採取し,リアルタイムPCRにてI型コラーゲン,Ⅻ型コラーゲン,インテグリンα1β1,コネキシン43の発現を定量した.また,採取した組織から凍結切片を製作し,免疫組織化学的染色を行った.
結果:PS群において,Ⅻ型コラーゲン,インテグリンα1β1,コネキシン43はNPS群,偽手術群と比べて有意に高い発現を認めたが,Ⅰ型コラーゲンは有意な変化はみられなかった.また,PS群において0.3mmのくびれ部分に環状線維を認めた.
結論:PSにおいて,プラットホームのくびれた部分に線維芽細胞が集積し,細胞─細胞間接着,細胞─線維間接着が活性化し,強固に安定した環状線維を形成する可能性が示唆された.

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© 2018 公益社団法人日本口腔インプラント学会
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