2019 年 32 巻 1 号 p. 71-79
近年,歯科インプラント補綴のためのデジタル技術は進展しており,その中でも,口腔内スキャナーが注目を浴びている.嘔吐反射を抑制し印象や石膏の硬化膨張による歪みの解消,感染性廃棄物を減少させるなどの多くの利点がある.現在,口腔内スキャナーは単独歯冠補綴または少数歯欠損などの固定性補綴装置の製作に広く用いられている.しかし,フルアーチインプラント症例への適応や義歯への応用に関しては,まだ不明な点が数多い.本稿では以下の口腔内スキャナーの種々の応用において,良好な結果を得たので報告する.
口腔内スキャナーを用いたフルアーチインプラント症例.最終的なプロビジョナルレストレーションの形態を忠実に再現したインプラント上部構造を製作.抜歯後の動揺が大きい症例に対して抜歯後即時用サージカルガイドプレートを製作.インプラント埋入直後の光学印象によりプロビジョナルレストレーションを製作.歯槽堤粘膜の光学印象により3Dプリンターで全部床義歯を製作.既存義歯を口腔外で光学印象して複製義歯(コピーデンチャー)を製作.
以上のことから,口腔内をスキャナーは,単独歯冠あるいは少数歯欠損症例だけでなく,フルアーチインプラント症例にも応用が可能で,抜歯後即時インプラント症例のプロビジョナルレストレーション,サージカルガイドプレート製作応用,および,全部床義歯の製作などにおいても適応され種々の臨床応用が可能であることが示唆された.