日本口腔インプラント学会誌
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特集 インプラント治療におけるCT活用の効果と今後の展望を多角的に考える
インプラント治療におけるCT画像の臨床的問題点
木村 正小室 暁岸本 博人阪本 貴司
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2019 年 32 巻 4 号 p. 313-323

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抄録

デンタルエックス線写真,パノラマエックス線写真,CTのデジタル画像では,デジタル特有のアーチファクトで骨吸収様像を呈することがあり,インテグレーションの評価は困難である.

また,三次元的な構造を把握でき,精度が高いと考えられているCBCT画像は規格撮影ではなく,すべてのエックス線の入射方向でインプラントの寸法は収縮して撮影される.同様に複数のインプラント間の距離も収縮し,インプラントの位置関係は変位する.結果として,精度と再現性に問題があり,デジタルデンティストリー(デジタルマッチング,CAD-CAM,シミュレーション)に影響する.また,距離測定や経時的なインプラント周囲骨の変化,インテグレーションの評価は十分な注意を要する.一方,寸法収縮を補正することで,インプラント治療が非適応と診断された症例でも適応できる可能性がある.デジタル画像で生じる寸法の収縮や骨吸収様像を理解し,収縮補正を考慮した診査診断を示し,インプラント治療におけるCT画像の臨床的問題点を議論する.

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© 2019 公益社団法人日本口腔インプラント学会
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