2019 年 32 巻 4 号 p. 339-345
目的:インプラント治療に広く用いられる純チタン表面の細胞親和性や組織親和性は経時的に低下するが,チタンへの紫外線(UV)処理はこれを改善することが知られている.糖尿病はインプラント治療のリスクファクターの一つであり,オッセオインテグレーションの獲得が困難とされる.そこで本研究では,2型糖尿病ラット(SDTラット)骨髄由来細胞を血糖値コントロールがされた状態を想定した低グルコース環境下にてチタン上で培養し,チタンへのUV処理の糖尿病患者に対するインプラント治療への有用性について検討した.
方法:実験にはSDTラットの骨髄由来細胞を使用した.対照チタンディスク上で細胞を培養した群(対照群)とUV処理チタンディスク上で細胞を培養した群(UV群)に分け,接着細胞数,分化能および石灰化能を検索した.表面の酸処理後4週が経過したチタンディスクを対照群として用い,4週経過後に48時間のUV照射を行ったものをUV処理チタンディスクとした.
結果:UV群では対照群よりも接着細胞数は少なかったが,ALP活性および石灰化能は高くなっていた.
結論:SDTラットの骨髄由来細胞は低グルコース環境において,UV処理チタンディスク上では骨芽細胞様細胞への分化が促進されることが判明した.このことから,チタンへのUV処理はコントロールされた糖尿病患者へのインプラント治療の有用な方法の一つとなりうることが示唆された.