日本口腔インプラント学会誌
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原著(基礎研究)
水晶発振子マイクロバランス法によるチタン表面へのタンパク質の2段階吸着の解析
今上 英樹野本 秀材野村 智義前川 修一郎三嶋 直之老川 秀紀大橋 功早川 徹
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2020 年 33 巻 2 号 p. 159-166

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抄録

目的:インプラント埋入の際,チタン(Ti)表面へのタンパク質吸着がまず起こる.本研究では,水晶発振子マイクロバランス(QCM)法を用いて,タンパク質のTi表面への2段階吸着について検討した.

方法:27 MHzのQCM装置を使用した.タンパク質としては,フィブロネクチン(Fn) およびアルブミン(Alb)を用い,以下の手順で吸着させた.すなわち,手順1) Fn-Alb系列:まずFn溶液を滴下し60分間吸着させた後に,Alb溶液を滴下し60分間吸着させた.手順2)Alb-Fn系列:最初にAlb溶液を滴下し60分吸着させた後に,Fn溶液を滴下し吸着挙動を60分間調べた.タンパク質総吸着量をSauerbreyの式を用いて算出した.さらに,振動数減衰曲線のカーブフィッティングにより見かけの吸着速度定数Kobsを得た.さらに,タンパク質吸着後のTiを蒸留水で洗浄して,表面の状態および表面粗さを観察した.

結果:両系列を比較すると,Fn-Alb系列よりもAlb-Fn系列のほうがより大きな減衰を示した.1段階目の吸着では,FnはAlbよりも有意に吸着量が多かった.2段階目の吸着では,Alb吸着量は両系列で有意差は認められなかったが,Fn吸着量はFn-Alb系列よりもAlb-Fn系列のほうが有意に大きくなった.また,2段階目のKobsは,Fn,Albともに1段階目のKobsより遅くなっていた.AFM観察ではAlbの残存がみられたが,Fnはほとんど残存していなかった.

結論:Ti表面へFnおよびAlbを2段階吸着させた結果,吸着順序によって吸着挙動が異なることがわかった.Fnの吸着量はAlb吸着によって増大した.

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© 2020 公益社団法人日本口腔インプラント学会
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