2020 年 33 巻 4 号 p. 366-374
目的:本研究は,カンチレバーを付与したインプラントの傾斜角度が最大曲げ荷重,変形量およびカラー部のひずみに及ぼす影響について検討することを目的に行った.
方法:上部構造は下顎第一大臼歯の近遠心の幅径(12 mm)を模し,荷重を負荷するために両端に3.25 mmを加え全長18.5 mmとした.傾斜角度については傾斜なし,10°,20°と30°の4種類で行った.インプラント体のカラー部の先端部にひずみゲージを貼り付け,上部構造の端面から3.25 mmの部分に荷重を負荷し,各測定を行った.
結果および考察:傾斜なしの最大曲げ荷重は約609 Nであり,傾斜10°は約18%,傾斜20°は約21%,傾斜30°は約31%それぞれ傾斜角度なしと比較して減少した.変形量は傾斜角度が増加するほど大きくなった.CTによる内部観察の結果,カラー部とアバットメントの隙間は傾斜角度が増加するほど広くなる傾向であった.また,スクリューの上部は塑性変形していたが破折は観察されなかった.カラー部のひずみが0.1%に達したのは,傾斜20°と傾斜30°ともに負荷荷重150 Nであった.傾斜角度が増加するほどカラー部のひずみは大きくなり,すべての傾斜角度でひずみが0.1%に達したのは荷重250 Nであった.傾斜なしと傾斜10°のカラー部のひずみは,すべての荷重において差が認められなかった.
結論:本研究におけるカンチレバーを付与したインプラントの傾斜角度の限界は,傾斜なしとひずみに差が認められなかった10°であることが明らかとなった.