日本口腔インプラント学会誌
Online ISSN : 2187-9117
Print ISSN : 0914-6695
ISSN-L : 0914-6695
症例報告
顎骨再建後に電鋳テレスコープ義歯を用いた補綴症例
林 昌二杉山 秀太志村 公治郎山田 千恵渋谷 勝男鳥羽山 剛土肥 雅彦久保田 英朗
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 34 巻 3 号 p. 227-234

詳細
抄録

腫瘍切除後に腸骨移植による顎骨再建を行い,電鋳テレスコープ義歯により口腔機能の回復を行い,長期にわたり観察を行った症例を経験したので報告する.

患者は31歳女性.物が咬めないという主訴にて受診した.下顎骨病変が疑われたため,抜歯と同時に生検を行ったところ,骨線維腫病変の疑いと診断された.腫瘍切除後,チタンメッシュトレーと腸骨による下顎骨再建術を施行し,腸骨移植部にインプラント埋入手術を行った.補綴装置の設計として,一次構造体にバーフレームを選択し,暫間補綴装置を仮着,咬合の安定を確認し,最終的に電鋳テレスコープ義歯を装着,経過観察を行った.

最終補綴装置が装着され15年が経過したが,インプラント周囲の炎症や動揺は認められず,パノラマエックス線,歯科用コーンビームCT画像よりインプラント周囲の異常な骨吸収は認められなかった.補綴装置の満足度評価では総合的に高い満足感が得られ,補綴装置の維持力も正常に発揮され,長期間にわたり良好な口腔機能を維持することができている.

著者関連情報
© 2021 公益社団法人日本口腔インプラント学会
前の記事 次の記事
feedback
Top