日本口腔インプラント学会誌
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特集 サイナスリフトの現状と将来展望
クレスタルアプローチの可能性
水口 稔之
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2021 年 34 巻 4 号 p. 265-275

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抄録

クレスタルアプローチによるサイナスリフトが開発されてから,クレスタルアプローチとラテラルアプローチの臨床での使い分けが行われてきた.多くは既存骨の垂直的な幅を基準としていたが,筆者はより低侵襲な手術を行うために既存骨幅が少ない症例にもクレスタルアプローチを採用してきた.しかし,シュナイダー膜の上顎洞底骨への癒着などにより既存骨が3 mm以下の症例の成功率は低かった.そこで,既存骨が少ない場合はクレスタルにスリット状にウィンドウを形成してインスツルメントによるシュナイダー膜の剥離を行うことによって,高確率での成功を認めた.成功率が高くてもサイナスリフトの成功率が100%出ないのであれば,そのリカバリーの方法を充実させるべきである.今回,クレスタルアプローチにおいてシュナイダー膜のパーフォレーションなどのトラブルが起こった場合の4つのリカバリー方法を報告するとともに,シュナイダー膜のパーフォレーション後に起こりえる上顎洞炎に対する洗浄の方法を紹介する.

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© 2021 公益社団法人日本口腔インプラント学会
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