2022 年 35 巻 3 号 p. 204-211
目的:インプラント治療を行う際に下顎骨の幅径は非常に重要であるが,咬合状態と下顎骨の幅径を検討した研究はない.そこで本研究は,咬合状態を含めた下顎骨の幅径と関連する要因を明らかにすることを目的とした.
対象および方法:インプラント手術とは関係しない疾患で撮影したCT画像を用いて,正常咬合群と下顎前突症群の2群における下顎正中部の骨幅径と下顎枝前縁部の骨幅径および咬筋最大幅径を測定した.
結果:統計学的に検討した結果,女性において下顎正中最小幅径と下顎枝前縁部最小幅径が有意に反対咬合群で薄い結果となった.また,男女ともに咬筋最大幅径が反対咬合群で有意に薄い結果となった.咬筋最大幅径と下顎骨幅径の相関をみたところ,女性では下顎正中部の最小幅径(r=0.429,p=0.014)と下顎枝前縁部の最小幅径(r=0.354,p=0.047)において咬筋最大幅径と有意な相関関係を認めた.下顎骨最小幅径に影響を与える因子を重回帰分析で検討したところ,下顎正中部骨幅(β=-0.244,p=0.042)と下顎枝前縁部幅径(β=-0.267,p=0.026)ともに咬合のみが有意に関連する因子であった.
結論:今回の研究で,咬合状態が下顎骨幅径と咬筋幅径に関与していることが明らかとなり,下顎前突症群では下顎が正常咬合群に比較して薄い傾向があることが判明した.