日本口腔インプラント学会誌
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特集 インプラントの咬合を再考する
インプラント治療における力の制御を再考する
依田 信裕小山 重人
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2024 年 37 巻 3 号 p. 221-228

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抄録

口腔内のインプラントを長期的に安定して機能させるためには,インプラントに加わる力を適切に制御することが重要である.これまでの膨大な研究成果に基づき,成書や文献にはインプラント治療における「力の制御」に関するさまざまな原理・原則が示され,インプラント治療指針としての役割も担ってきた.しかし,これらすべてが適切なエビデンスを有しているとは限らない.そもそも,インプラント治療の成否に影響を及ぼしうる生体力学的関連因子は多様かつ個人差が大きく,エビデンスレベルの高い臨床研究にて検証することはきわめて困難である.しかし,それでもインプラント臨床に携わる者の責務として,少しでも有用な根拠を求めなければならない.

本総説では,インプラント治療における「力の制御」について,機能時にインプラントに加わる力の詳細,さらに力により惹起されるインプラント周囲骨の反応を調査した臨床データベースの生体力学的研究結果を基に考察する.また,インプラントに加わる力に影響を及ぼしうる生体力学的関連因子として,「カンチレバーブリッジ」と「咬合」に着目し,関連する研究データに加え,最新の文献から得られたエビデンスを基にインプラント臨床において考慮すべきポイントについて考察する.

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© 2024 公益社団法人日本口腔インプラント学会
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