2026 年 39 巻 2 号 p. 115-122
ジルコニアは化学的安定性が高く,レジンセメントとの接着獲得が困難である.本研究では,30 wt%過酸化水素水(H2O2)に塩酸(HCl)を添加した酸性過酸化水素処理で表面親水化を図り,ジルコニウムアルコキシド含有二液性ジルコニアプライマーとγ-MPTS 二液性シランプライマーを併用したジルコニア接着システムの最適化を行った.
鏡面研磨ジルコニアを80℃で10~30 分間浸漬し,水の接触角を測定した.その結果,HCl 濃度・浸漬時間の増加に伴い水の接触角は低下し,30 wt% H2O2+3N HCl 30分間処理で最小となった.同条件で処理した試験体にジルコニアプライマーおよびγ-MPTS 作業濃度0.021~0.100 mol/L のシランプライマーを適用し,せん断接着強さを比較したところ,0.061 mol/Lで最大接着強さの8.4±1.1 MPa を示し,破壊様相は界面剥離主体からレジンセメント残存を伴う混合破壊主体へ移行した. 本研究の最適化ジルコニア接着システムは市販MDP接着システム(6.0~6.4 MPa)よりも有意に高い値を示したことから(p<0.05),最適化ジルコニア接着システムの化学的な初期接着強さは市販MDP接着システムを上回る可能性が示唆された.