2026 年 39 巻 2 号 p. 136-141
近遠心幅径が狭い下顎前歯欠損部に対して,直径3.0 mm 未満の2種類のインプラントを用いて治療を行い,4年6か月にわたり良好な経過を得たため,その概要を報告する.
患者は25歳男性で,矯正歯科治療後の空隙に対するインプラント治療を希望し来院した.下顎左側および右側に先天性欠如歯を認め,矯正歯科治療後のリテーナーにより欠損部(33,43相当部)の保隙が行われていた.インプラント埋入計画時にCT 撮影を行い,欠損部の近遠心幅径および頬舌側骨幅を評価した結果,隣在歯との距離を確保する目的で直径3.0mm未満のインプラント埋入をそれぞれ予定した.2020年8月,左右の欠損部へ通法に従い埋入し,骨造成は行わなかった.免荷期間後に精密印象を行い,上部構造を装着した.
上部構造装着後4年6か月が経過しているが,33,43相当部のインプラント周囲に炎症や骨吸収の所見は認められず,経過は良好である.本症例の経過から,近遠心幅径の狭い前歯部欠損に対して直径3.0 mm未満のインプラントを用いることは,インプラント治療における一つの選択肢となりうる可能性が示唆された.