抄録
6種類の市販のチタン製骨内インプラント,および純チタン板材からワイヤ放電加工で製作された試作のブレードインプラントを実験に用いた.インプラントの切断面を金属組織学的手法を用いて研磨,エッチングを行い,金属顕微鏡で組織の観察を行った.また切断面のマイクロビッカース硬さを測定した.3種類のブレードタイプのインプラントの引張試験を行った.金属組織の観察結果,焼鈍組織が観察されたインプラントと加工により変形させられた結晶組織が観察されたインプラントが認められた.また各インプラントで結晶の大きさも異なっていた.各種インプラントのマイクロビッカース硬さは,155から287の範囲で製品間に有意差が認められた.引張試験の結果,試験したブレードインプラントは,すべて十分な塑性変形ののちに破断した.各種インプラントに認められた金属組織や機械的性質の違いは,原材料の選択および各システムに用いられている製作方法により決定されたと考えられる.