抄録
4種類の市販チタン製骨内インプラントおよび1種類の試作チタン製インプラントを用いて,インプラント表面の酸化物について,オージェ電子分光分析を行い検討した.各試料のオージェスペクトルを測定し,さらにアルゴンイオンでスパッタを行いながら,スパッタ時間とともにスペクトルのピーク高さを計測して,深さ方向の構造について検討した.いずれの試料のオージェスペクトルからも酸素,チタン,炭素のピークが検出された.酸素とチタンのピーク高さを考慮すると,すべての試料の最表層は酸化チタン(TiO2)でおおわれていると考えられた,深さ方向の構造の様相から,実験に用いたチタン製インプラントの表層には,175~455 Åの厚さの酸化物被膜があると考えられた.このように各種インプラントにより酸化物被膜の厚さが大きく異なっていることが判明したが,これは各種インプラントで製作方法や表面仕上げの方法が異なっているためであると考えられた.