日本口腔腫瘍学会誌
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シンポジウム:「口腔癌放射線治療の現状と展望」
舌癌放射線治療の現状と展望
清水谷 公成
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2009 年 21 巻 3 号 p. 190-197

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抄録

放射線治療の最大の目標は癌に対して線量を集中させ,周囲正常組織への線量を低減させること,すなわち線量集中性である。この目標への解答が小線源治療であり,粒子線治療であり,強度変調放射線治療(IMRT)である。
近年,放射線治療における照射技術はコンピュータを導入した高線量率遠隔照射技術が主流となり,医療従事者の被曝が皆無となった。さらに隔離病室を必要とせず,また治療計画時にはコンピュータの最適化プログラムによって任意断面での最適な線量分布を獲得し,確実な線量を投与することができるようになった。しかし,小線源治療が,より一層その優位性を示すためには,適切な線源配置が必要条件で,それを達成するためには各臓器・各領域に応じた技術的工夫が鍵となる。
小線源治療は放射性同位元素を直接腫瘍内へ挿入することから,腫瘍への優れた線量集中性を有し,周囲正常組織への線量の低減が可能な照射法として現在もなお放射線治療の中で重要な位置を占めている。現在の小線源治療は画像やコンピュータを駆使してより高精度で,より客観的なものになりつつある。一方,舌癌は手術療法の割合が多いものの,高線量率あるいは低線量率小線源治療の良い適応であることに変わりはない。
そこで,今回は口腔癌の中で最も発現頻度の高い舌癌に焦点を絞り,舌癌に対する放射線治療(小線源治療)の現状と将来の展望について報告する。

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© 2009 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
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