日本口腔腫瘍学会誌
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症例報告
上顎洞と鼻腔を広範に占拠した石灰化嚢胞性歯原性腫瘍の1例
工藤 雅範小村 健原田 浩之岡田 憲彦
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2012 年 24 巻 2 号 p. 49-54

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抄録

1962年Gorlinらにより報告された石灰化歯原性嚢胞は,2005年のWHO歯原性腫瘍分類では石灰化嚢胞性歯原性腫瘍と改称され,腫瘍に分類された。
今回,上顎洞と鼻腔を広範に占拠した石灰化嚢胞性歯原性腫瘍の1例を経験したので報告した。患者は24歳男性で,2008年2月右側上顎腫瘤を主訴に紹介・来院した。パノラマX線写真では右側上顎に単房性の嚢胞様病変を認め,内部には石灰化物を認め,隣接する歯の歯根吸収を認めた。CTで嚢胞様病変は5.2×4.7×3.7cm大で,内部には石灰化様構造物を含んでいた。生検にて病変は石灰化嚢胞性歯原性腫瘍と診断された。2008年4月,Caldwell-Luc手術とともに腫瘍摘出術を施行した。
3年経過した現在,再発は認めず経過良好である。

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© 2012 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
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