日本口腔腫瘍学会誌
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シンポジウム2:「そこが知りたい!下顎再建のポイント」
肩甲骨皮弁による下顎再建の実際(原著)
長谷川 和樹
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2014 年 26 巻 3 号 p. 69-77

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抄録

下顎骨の切除は咀嚼のみならず審美性,嚥下,構音など多くの機能に障害を生じることとなる。そのため下顎骨欠損の硬性再建を行うことは患者さんのQOLを回復するための非常に有効な手段となる。
現在下顎骨の再建には腸骨,腓骨,肩甲骨など様々な部位の血管柄付骨皮弁が用いられている。しかしどの骨皮弁もそれぞれ長所,短所があり,必ずしも一つの皮弁にてすべての症例に適応できうるものではない。
肩甲骨皮弁は口腔顎顔面外科領域の硬組織再建に広く用いられている骨皮弁の一つである。その栄養血管である肩甲下動静脈は二つの枝(胸背動脈,肩甲回旋動脈)に分かれ,さらに胸背動脈はAngular branchや前鋸筋枝を分岐する。そのためこの血管系は肩甲回旋動脈による肩甲骨弁,Angular branchによる肩甲骨弁,両者の血管柄を持つ肩甲骨弁,広背筋皮弁など様々な皮弁を栄養することができ,さらにこれらの皮弁を組み合わせた複合皮弁としても用いることができる。
今回は当科にて行っている肩甲骨皮弁を用いた下顎再建につき,オトガイ部を含めた区域切除後の再建術式を中心として解説,さらに解剖,本皮弁の特徴,適応なども含め検討し紹介する。

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© 2014 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
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